只者ではない「天使の声を持つお祖父さん」 ROBERT WYATT
2015年01月24日
「Different Time」ROBERT WYATT
ロバート・ワイアットの2014年11月発売の最新ベストアルバムである。
そして、ロバートは今作品で音楽活動の停止を発表しているため、ラスト・アルバムともなる。
ロバートは、1945年1月28日生まれ(もうすぐ70歳の誕生日である)のイギリス出身のミュージシャンである。ソフト・マシーン、マッチング・モールを経由して、1974年よりソロとなる。1972年に、パーティーで酔ったまま5階から転落し、その後下半身不随となりながらも音楽活動を続ける。
ロッド・スチュワートがあのガラガラ声をセールスポイントにしているのとは対照的に、ロバートは澄み切ったハイトーンの声をセールスポイントにしたミュージシャンである。
私個人としては、両者共に、甲乙つけがたいほどの“好みの声”ではあるが。
ロバートはよく「唯一無二の声を持つミュージシャン」と紹介されることが多いが、私は「天使の声を持つお祖父さん」と呼ばせていただきたい。
アルバムは2枚組みであり、1枚目はソフト・マシーンからソロに至るまでの曲が収められており、2枚目は他のミュージシャンとのコラボ作品が収められている。
いきなり、ソフト・マシーンの大作「ムーン・イン・ジューン」で幕を開けるが、なんとこの曲は20分弱もする。ロバートの自作であり、ソフト・マシーンでヴォーカルを取った最後の曲ということで思いいれもあるのだろうが、とてもベストアルバムの最初に持ってくる長さの曲ではない。やはり、ロバートは只者ではないようである。
「サインド・カーテン」はマッチング・モールの曲だが、ロバートの自作であり、「これが最初のヴァース、そしてこれがコーラス、そしてこれが二番目のヴァース」と、淡々と曲の構成を説明しているような歌詞である。やはり、ロバートは只者ではない。
「ジ・エイジ・オブ・セルフ」はロバートの自作であり、ベースのリフが印象的な曲である。「世界中の労働者が今も、リオ・ティント社のせいで死んでいる」との歌詞が光る。ロバートはきっちりとロスチャイルドを批判している。やはりロバートは只者ではない。
「フリー・ウィル・アンド・テスタメント」は共作だが、実に美しい名曲である。「つまり自分を知っていると言っても、どうしてそれがわかる?クモ恐怖症を理解するクモとは、いったいどんなもの?」「僕は自由だったことがあるんだろうか、僕にならない選択もあっただろうに」と歌う。あまりに深い・・・。やはり、ロバートは只者ではない。
<参考記事>
http://ototoy.jp/feature/2014122001
まさに集大成! 希代の音楽家、ロバート・ワイアットの全キャリアを凝縮したベスト・アルバムを配信
http://www.timeout.jp/ja/tokyo/feature/3473
ロバート・ワイアットについてあなたが知らない8つのこと
評点:90点
ロバート・ワイアットの2014年11月発売の最新ベストアルバムである。
そして、ロバートは今作品で音楽活動の停止を発表しているため、ラスト・アルバムともなる。
ロバートは、1945年1月28日生まれ(もうすぐ70歳の誕生日である)のイギリス出身のミュージシャンである。ソフト・マシーン、マッチング・モールを経由して、1974年よりソロとなる。1972年に、パーティーで酔ったまま5階から転落し、その後下半身不随となりながらも音楽活動を続ける。
ロッド・スチュワートがあのガラガラ声をセールスポイントにしているのとは対照的に、ロバートは澄み切ったハイトーンの声をセールスポイントにしたミュージシャンである。
私個人としては、両者共に、甲乙つけがたいほどの“好みの声”ではあるが。
ロバートはよく「唯一無二の声を持つミュージシャン」と紹介されることが多いが、私は「天使の声を持つお祖父さん」と呼ばせていただきたい。
アルバムは2枚組みであり、1枚目はソフト・マシーンからソロに至るまでの曲が収められており、2枚目は他のミュージシャンとのコラボ作品が収められている。
いきなり、ソフト・マシーンの大作「ムーン・イン・ジューン」で幕を開けるが、なんとこの曲は20分弱もする。ロバートの自作であり、ソフト・マシーンでヴォーカルを取った最後の曲ということで思いいれもあるのだろうが、とてもベストアルバムの最初に持ってくる長さの曲ではない。やはり、ロバートは只者ではないようである。
「サインド・カーテン」はマッチング・モールの曲だが、ロバートの自作であり、「これが最初のヴァース、そしてこれがコーラス、そしてこれが二番目のヴァース」と、淡々と曲の構成を説明しているような歌詞である。やはり、ロバートは只者ではない。
「ジ・エイジ・オブ・セルフ」はロバートの自作であり、ベースのリフが印象的な曲である。「世界中の労働者が今も、リオ・ティント社のせいで死んでいる」との歌詞が光る。ロバートはきっちりとロスチャイルドを批判している。やはりロバートは只者ではない。
「フリー・ウィル・アンド・テスタメント」は共作だが、実に美しい名曲である。「つまり自分を知っていると言っても、どうしてそれがわかる?クモ恐怖症を理解するクモとは、いったいどんなもの?」「僕は自由だったことがあるんだろうか、僕にならない選択もあっただろうに」と歌う。あまりに深い・・・。やはり、ロバートは只者ではない。
<参考記事>
http://ototoy.jp/feature/2014122001
まさに集大成! 希代の音楽家、ロバート・ワイアットの全キャリアを凝縮したベスト・アルバムを配信
http://www.timeout.jp/ja/tokyo/feature/3473
ロバート・ワイアットについてあなたが知らない8つのこと
評点:90点
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