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ソウルマン

「エルビス・コステロという魔法使いと、バート・バカラックという魔法使いによる、二人の魔法合戦によって生まれた“世にも不思議な音楽作品”」by ELVIS COSTELLO with BURT BACHARACH

「PAINTED FROM MEMORY」ELVIS COSTELLO with BURT BACHARACH


1998年発売の、エルビス・コステロとバート・バカラックの共作アルバムである。
バート・バカラック逝去の知らせをきっかけに、超久々に聴き返した。

正直言って本作を聴くまでは、当時はバート・バカラックのことはほとんど知らなかった。
でも、「雨に濡れても」のような超有名曲は耳にしていた。
ただそれがバート・バカラック作曲であることを知らなかっただけである。

恐らく、私に限らず多くのコステロファンは、私のように本作でバート・バカラックを知った人間が多いのではないのだろうか。特に日本では。

コステロファンであれば、そのほとんどがロック好きだろう。
そのため、本作のような曲調の曲をほとんど聴いていない人間ばかりのような気がする。
だからほとんどの人間が初めに本作を聴いたとき、「とっつきにくい作品である」と感じたのではないのだろうか。
少なくとも、当時の私はそう感じた。
これまでこういった音楽を聴いていないのだから、これは当たり前のことである。
でも聴き続けているうちに、本作の素晴らしさに気づくようになるのである。
「今までロックばかり聴いていた俺だけど、このような上品な音楽も意外といいもんだな」と思うようになるのである。

これが「コステロとバカラックの魔法」である。

決してハマりはしないのだが、今までこの手の音楽を聴いていなかった人間は「新鮮な体験」であると感じるようになるのである。
私も、この「コステロとバカラックの魔法」をかけられた一人である。
でもこの体験をきっかけに、ロックを聴く回数が減り、ポピュラー音楽やジャズやクラシックを聴くようにはならないのである。
相も変わらずロック好きは、ロック好きのままであり、しばらくすれば、この手の音楽のことは忘れてしまうのである(笑)

「コステロとバカラックの魔法」も、「ロック好きにさせられてしまった魔法」と比べると、魔法の効力は弱いようであるのだ(笑)

本作で魔法をかけられたのは聴き手だけではないようである。
エルビス・コステロ本人も魔法をかけられているように感じる。
その理由は本作の歌詞にある。
本作は全曲コステロとバカラックの共作ということになっている。
バート・バカラックは基本的に作曲家であるため、作詞を担当したのはコステロだと考えられる。
しかしコステロが作ったと思われる歌詞は、いつもと全然違うのである。
いつものコステロの歌詞は、凝っているのは分かるが、あまりに凝りすぎており、何を言いたいのか意味不明な歌詞ばかりなのだ。
特に初期の作品はその傾向が顕著である。
しかし本作の歌詞は、実に分かりやすい歌詞なのである。
いつものように屈折した箇所は多々あるが、いつもほど理解不能の極致ではないのである。

あまりにつまらないので観るのをやめたあの大河ドラマじゃないけれど、「どうしたコステロ?」といった印象を受けるのだ(笑)

あれだけ屈折した支離滅裂な性格であったコステロが突然素直な普通の人間に代わってしまったように感じるのである。
恐らくほとんどの楽曲の作曲の基本はバート・バカラックが手掛けているのだろう。
だからさすがのコステロも、バカラックサウンドに合わせるためにはいつもと違う“普通の歌詞”を書かざるを得なかったのだろう。
いつものような意味不明な歌詞を書いたら“バカラック先生”に「ふざけるな!」とお叱りを受けると思ったのだろう(笑)
あの“問題児コステロ”も、“バカラック先生”の前では真面目で従順な生徒を演じるしかなかったようなのだ(笑)

これが「バカラックがコステロの歌詞にもたらした魔法」である。

本作にはいろいろな魔法が仕掛けられています。
エルビス・コステロという魔法使いと、バート・バカラックという魔法使いによる、二人の魔法合戦によって生まれた“世にも不思議な音楽作品”なのですから。
まだ本作を聴いておられない方は、魔法にかけられることを承知の上で、覚悟してお聴きになってくださいませ。
魔法の結果皆さんがどうなろうと当方は一切の責任を負いませんので、ご承知のほどを(笑)










評点:100点






バート・バカラック

エルビス・コステロ



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Posted byソウルマン

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