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ソウルマン

「あんたは爆弾投下を止めるかい?政府の間違った政策を正せるのかい?」by マーヴィン・ゲイ

「You’re The Man」MARVIN GAYE


2019年に発売されたマーヴィン・ゲイのアルバムです。
「マーヴィンは1984年に亡くなってるやろ。どーゆーこと?」と思われがちですが、実は「1972年に発売予定されていながらお蔵入りとなった作品を2019年になって発売した」ということらしいです。
「それにしても、もっと早くに出せるやろ」と思ってしまいますが、私にもよく分かりません。
大ヒット作となった「What’s Goin’ On」が1971年の作品であり、その翌年に本作のアルバムタイトル曲が先行シングルとして発売されたのだが、全然売れなかったようなのだ。その関係からか、1972年に発売される予定だった本作はお蔵入りとなってしまった。
「それにしても、なんでこんな秀逸なアルバムをお蔵入りにするねん!」というのが私の本音である。
特に気になった曲を個別に触れておく。

「You’re The Man」
全然売れなかったアルバムタイトル曲である(笑)
「ワシントンで人々がデモをしている。彼らの話を聴いてみろよ。」「あんたは爆弾投下を止めるかい?政府の間違った政策を正せるのかい?」「あんたがしっかりした計画を持っているのなら、あんたに投票しなきゃな。あんたは立派な人間なんだからな」と歌う。
明らかに“ダメな政治家”に対して皮肉を込めて歌っている。

「My Last Chance」
「ベイビー、踊ってもいいかい?君に近づくラストチャンスなんだ。僕がどんな気持ちを持ち続けていたかを気づいてもらいたいだけなのさ」と歌っている。
美しいバラードである。

「Symphony」
「シンフォニー、彼女はシンフォニーとしてのみ知られている。メロディ、僕の心の中に忍び込んできたのさ」と歌う。
音楽を擬人化しているのかな? 実に美しい曲である。

「I’d Give My Life For You」
「君は僕が聴く音楽。君の声の音。君は僕のラプソディー。君に気づいてもらえるなら、命を捧げてもいいのさ」と歌う。
これも音楽を擬人化しているのかな?
まさに「愛と誠」の“有名なフレーズ”「君のためなら死ねる」ですナ。
ちなみに、これが理解できるのはある程度の年齢の方だけですナ(笑)

「I Want To Come Home For Christmas」
単なるクリスマスソングではない。
戦時下で敵の捕虜になって独房でクリスマスを待望している兵士の目線で書かれている。
はい、反戦歌である。

「I’m Going Home」
淡々とした曲調に歌詞が響く。
この後に起こった悲劇を考えると、あまりに痛々しい。

「Checking Out(Double Clutch)」
ファンキーかつヘヴィーな曲調である。マーヴィンの意外な一面が感じられる。



ここに紹介した曲は、マーヴィン・ゲイが作詞作曲に関わった曲ばかりである。
他人が作った曲も多く収められており、それもいい曲ばかりだが、マーヴィン自身が作詞作曲に関わった曲の方がマーヴィンの想いに一番触れることができると思い、これらの曲を紹介した。
ボブ・マーリーほどではないが、マーヴィンも“闘うミュージシャン”であった。
その代表格が「What’s Goin’ On」であったのだが、本作でもかなり政治的な発言を歌にしている。
本作がお蔵入りとなったのも、マーヴィンの悲劇の死も、こういったマーヴィンの主張が関係しているように思われる。
マーヴィンの音楽的才能の素晴らしさは言うまでもないことだが、それだけでなく不平等な社会・政治に怒りのメッセージを投げかけ、不条理な世界に「NO!」を叩きつけた男、“闘うミュージシャン” であったマーヴィン・ゲイに敬意を表したい。









評点:90点





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Posted byソウルマン

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