僕らは、ブルースのミュージシャンや彼らがプレイする音楽へのリスペクトや愛を失ったことは一度もない - ザ・ローリング・ストーンズ、Mジャガー、Kリチャーズ

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僕らは、ブルースのミュージシャンや彼らがプレイする音楽へのリスペクトや愛を失ったことは一度もない

「BLUE & LONESOME」The Rolling Stones


ストーンズの11年ぶりの待望のアルバムである。新作だが旧作である。
どーゆーことかと言うと、全曲、往年の黒人ブルース・メンのカヴァーであるということだ。
「11年も待たしておいて全曲カヴァーって、どーゆーことやねん」と、
関西弁で突っ込みたくもなるが、「聴いてビックリ、もう最高、アッリガットサン」と、言いたい(笑)

正直言って、前回の「ア・ビガー・バン」から11年も経っているというのに、
それ程ストーンズの新作が待ち遠しいわけではなかった。
前作に限らず、ここのところの何年間は、それ程たいしたアルバムではなかった。
それなりに纏まっているのではあるが、繰り返し聴きたいと思わせるような内容ではなかった。
少なくとも、私個人的には。
ストーンズという名前のおかげでそれなりには売れるが、
作品の内容的には優れた新人バンドのアルバムにも負けていたかもしれない。
それなりにいいアルバムを出すのだが、デビューから70年代にかけてのストーンズが
あまりに凄すぎたので、どうしても見劣りを感じてしまうわけである。
ここ数年のアルバムは、はっきり言ってアルバム購入時には聴いたが、
ここ何年間も全く聴いていないのだ。
恐らく大抵のストーンズ・ファンがライヴでも楽しみにしている曲は、
60年代から70年代の曲が大半で、一部が80年代の曲であるだろう。

しかし本作は違う。どの曲もメッチャいいのである!!!
ストーンズがブルースのカヴァー・アルバムを出すと聞いて楽しみにしていたのだが、
本作は予想をはるかに超えている。ホンマ最高です。
ほんの3日間で録音を終えたらしいが、それも納得できる。
時間をかけたらいいというものではないのだ。
メンバー全員が3日間をフルに楽しんでレコーディングしていた様子が目に浮かんでくる。
ミック(73歳)も、キース(72歳)も、チャーリー(75歳)も、ロン(69歳)も、
ブルースを演ることが嬉しくて仕方なかったに違いない。
この3日間、ブルース大好き爺さん連中(笑)は、ティーンエイジャーに戻っていたのだ。
金は腐るほど稼いだだろう。昔のようにガツガツした野心はなくなっているだろう。
それなら何のためにアルバムを出すのかということに疑問を感じていたメンバーは、
アルバム制作の目的は「自分たちが楽しむことにある」と、気づいたのである。

初めは通常の新作アルバムを作ろうと思ってスタジオに入ったらしい。
新曲を何曲かレコーディングしていたが、行き詰ってしまったらしい。
その時にキースが『「ブルー・アンド・ロンサム」をやろう』と言ったそうだ。
これをきっかけに、アルバムの内容が180度変わったとのことである。
何か理屈ではわからない運命的なものがあったのだろう。
結果としては大成功である。
やっぱりストーンズはブルースなのだ。

彼らがバンドを始めたきっかけも、「白人社会に黒人音楽の素晴らしさを伝えること」であった。
初期のストーンズの曲は、ブルース・ソウルといった黒人音楽のカヴァーばかりであった。
自分たちでオリジナルが書けるなどとは思ってもいなかったのである。
そんな彼らが世界一のロック・バンドになったのである。
そういった純真な熱い想いをきっかけにしてバンド活動を始めた彼らが、
最終的にデビュー当時のバンド活動を始めた“志望動機”に立ち戻り、原点回帰したのである。
ただ、世界一のロック・バンドである彼らの“仕事”は半端じゃない。
いくら自分たちの好きなブルースが演れると言って喜んでいても、
その内容がつまらないものであったとしたら、彼らのバンドとしての名声も地に落ちてしまうのだ。
しかし、心配ご無用である。彼らの演奏は完璧であった。
チャーリーのドラム、キース、ロンのギターは息もピッタリで、ブルージーかつタイトである。
ゲスト参加のエリック・クラプトンのギターも、彩を添えてくれている。
中でも一番印象に残ったのは、ミックのブルース・ハープである。
アルバム全体の12曲中4曲もリトル・ウォルターの曲を採用しているのだが、
ブルース・ハープの名手であるウォルターに負けないぐらい、
ミックのブルース・ハープは吠えまくっている。
そんじょそこらのブルースをカヴァーしているだけのバンドとはレベルが違うのだ。

私は、アメリカの最近流行のチャラチャラした音楽は好きではない。
まして、それらを真似した日本のミュージシャンの曲は、聴くに堪えない。
ストーンズがデビュー時に白人社会に黒人音楽の素晴らしさを伝えたことは先程述べたとおりだ。
そして現在、人生の終盤を迎えた彼らは、現代の白人のみならず黒人も含めた若い世代の人間に、
改めて黒人ブルースの素晴らしさを訴えようとしている。
このアルバムをきっかけとして、多くの世界中の若者が
偉大なる今は亡き黒人ブルース・メンの曲を聴くようになれば、彼らは本望だろう。
最後に、アルバム・ライナーノーツより一部紹介する。


ミックは言う。「僕らは、ブルースのミュージシャンや彼らがプレイする音楽へのリスペクトや愛を失ったことは一度もない」と。


キースは常々、自分の墓碑銘に“過去から受け継ぎ、伝えた男”と記してほしい、と言っている。彼らは今、それを成し遂げたと思う。



ミックもキースもいいこと言うね~。全く持って同感である。
年の最後の最後になって最高の贈り物を届けてくれた、世界一のロック・バンドであり、
世界一の白人ブルース・メンであるストーンズのメンバーに感謝します。






評点:100点










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