いかした悪魔とロバート・ジョンソン - ロバート・ジョンソン、サン・ハウス

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いかした悪魔とロバート・ジョンソン

「ロバート・ジョンソン クロスロード伝説」トム・グレイヴズ


2008年の書である。内容は、タイトルの通りである。
ロバート・ジョンソンに関心のある人間には貴重な書だが、そうでない人間には、それほど興味深い話とは感じられないかもしれない。
著者は、例の伝説を否定している。
「ギターの上手くなかったロバートが、四つ辻で悪魔に魂を売ることで天才的なギタープレイを手に入れた」という有名な伝説だ。
しかし、誰も「この伝説が真実だ」などとは思っていないだろう。
わざわざ検証するようなことでもない。
ロバートのギタープレイの驚異的な変化、そして、その後に彼の残した楽曲があまりに素晴らしいため、
「この伝説が真実であってもおかしくない」といった風潮が残されたのだろう。
さらに著者は、もう一つの伝説も否定している。
「ロバートが酒場の店主の妻と不倫関係になり、嫉妬に狂った店主がウィスキーにストリキニーネを混ぜ、
ロバートに飲ませ、毒殺した」という伝説だ。
ただ、著者は毒殺自体を否定しているのではなく、「ストリキニーネではなく、別の毒物を飲まされたのではないか」といった主張をしている。
これまた同様に、こういった伝説が真実か否かといったことは、私のような一ロバート・ジョンソン・ファンにはさして重要な事ではない。
ロバートが飲まされた毒物がストリキニーネであろうと、他の毒物であろうと、ロバートが「伝説のブルースマン」であることは変わりようのない動かしがたい事実なのだ。
ただこういった伝説が、天才ブルースマンであったロバートを、さらに魅力ある「伝説のブルースマン」にならしめたことは間違いないだろう。

とうの昔に他界したロバートは、自分が後の時代のブルースファン、音楽ファンに、これほど「伝説のブルースマン」として崇められることになるとは思ってもいなかっただろう。
「伝説のブルースマン」となったロバートの人生は、あまりに壮絶であり、短命であり、哀しいものであった。
しかし、本当に素晴らしい人生というものは、幸せに長生きすることだけではないだろう。
人生で一番重要なことは、その人生の長短のみではなく、いかに中身のある有意義な人生を送れたかどうかということで決まるのではないのだろうか。
確かに悲惨な最期を遂げたのではあるが、後世の人間にこれだけ影響を与えたロバートの人生は、
ある意味、本当に素晴らしい人生だったのかもしれない。

いつも悪魔を否定している私だが、今回は、いつもと違う感想を述べておきます。

「本当にロバートが悪魔に魂を売って卓越したギターテクニックを手に入れたのだとしたら、
その悪魔は最高にいかした悪魔だったに違いない」と。






評点:60点




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