ELVIS COSTELLO 2016年コンサート評
昨日、エルビス・コステロの大阪公演に行ってきた。
早いもので、前回行った来日公演から約3年も経過している。
前回は会場への到着が遅れてしまったため最初の方の曲は逃してしまったが、
今回はちゃんと始めから見ることが出来ました(笑)
今回はラーキン・ポーというアトランタ出身の女性姉妹によるグループが、
オープニング・アクトとして参加しました。
ラーキン・ポーは初めに「アメリカ・ディープサウスから来た」という自己紹介をしていたが、
土地柄を感じさせるブルース・ロックという感じだった。
妹のレベッカ・ロヴェルは25歳でボーカル・ギター担当、
姉のミーガン・ロヴェルは27歳でボーカル&ラップスティール、ドブロ担当である。
ボーカル、演奏ともに、相当の実力を持つ美人姉妹バンドだった。
コステロに気に入られたのも理解できる。
コステロの鼻の下が心なしか長くなっているように感じた(笑)
さらに言えば、「奥さんのダイアナ・クラールの心境は、これいかに?」である(笑)
コステロは、今回バンドなしのソロとしての演奏だった。
正直言ってバンドを引き連れての迫力あるライヴを観たかったのが本音だが、
ソロというのも、これはこれで雰囲気があって良かった。
数種類のギターがステージに並べられており、コステロは曲ごとにギターを替えて演奏した。
ピアノの弾き語りもけっこうしてくれた。
昨日のことなのですが、既にうろ覚えなので順番が間違っていると思いますが(笑)、
演奏した曲を覚えている範囲内で記しておきます。
オープニングは「レッド・シューズ」、その後、「アクシデンツ・ウィル・ハプン」
「エヴリデイ・アイ・ライト・ザ・ブック」「アイ・キャント・スタンダップ・フォー・フォーリン・ダウン」「シップビルディング」「ウォッチン・ザ・ディテクティブズ」「シー」「ヴェロニカ」等を演奏しました。
1回目のアンコールからラーキン・ポーも参加し、「グッド・イヤー・フォー・ザ・ロージズ」「ラヴ・フィールド」「パッズ・ポウズ・アンド・クロウズ」「ブレイム・オン・ケイン」等を演奏しました。
アンコールの最後(間違ってるかもしれません)は「アリスン」でした。
2回目のアンコールは再び一人で登場し、「オールモスト・ブルー」「ジミー・スタンディング・イン・ザ・レイン」等を演奏しました。
そして最後の最後は、ニック・ロウ作だが、完全に自分の曲にしてしまっている
「ピース,ラヴ&アンダスタンディング」である。
今回のステージ背景には巨大テレビが設置されており、
コステロの幼少時や初来日公演時の東京路上のゲリラ・ライヴの映像や音楽ビデオ等を映していたのだが、
このラストの曲を演奏する際はアニメ映像の戦闘機や重装備した兵士を映しており、
そのアニメに「DON’T JOIN」の文字が記されてあったのだ。
「ピース,ラヴ&アンダスタンディング」は、「愛と平和を理解することがそんなにおかしいのかい?」と、
ニック・ロウが皮肉を込めて反戦を訴えた曲である。
コステロは凝りに凝った歌詞を書くのは得意なのだが、
このようなストレートなメッセージ・ソングを書くことは苦手であるようなのだ。
そんな屈折した性格の持ち主であるコステロだが、
本当に伝えたかったメッセージは、ズバリこのことなのだ。
「戦争に参加するな」である。
私に言わせれば、「“八百長”戦争に参加するな」となるが・・・
コステロは頭のいい人だから、当然、戦争というものが八百長であるという「常識」は理解しているだろう。
先読みすれば、コステロは日本が軍国主義に逆戻りしようとている最近の情勢を危惧しており、
「そうはさせない、騙されるんじゃない」という想いも込めて、
この反戦歌と反戦のメッセージを日本の聴衆に訴えようとしたのではないのだろうか。
この私の仮説を証明する事象として、1回目のアンコールになる前のステージ背景の巨大テレビに
ピート・シーガーの「イフ・アイ・ハド・ア・ハンマー」のビデオ映像が流れたことをあげておく。
この曲も反戦歌である。
「もし私にハンマーがあったら、朝も夜も国中を回って打ち鳴らすだろう、危ないぞ、気をつけろ」と、
戦争の足音が近づくことに対して警鐘を鳴らした曲なのです。
コステロに反戦の意思がないのなら、
自分とは関係のないこの曲の映像をコンサートの合間に流すはずがないのである。
明らかにコステロは、反戦を訴えています。
エルビス・コステロは、ミュージシャンの枠を超えた人物です。
真実を、今本当に伝えなければならないことを、勇気を持って語れる偉大な人物です。
我々日本のコステロ・ファンは、本当にコステロが伝えようとしたメッセージを理解しなければなりません。
「戦争に参加するな、そして戦争の真実を正しく理解しろ!」
「戦争というものは八百長なんだ、騙されるんじゃない!」
これが、エルビス・コステロが本当に伝えたった「ピース,ラヴ&アンダスタンディング」の本当の歌詞の意味なのでしょう。
そうです! 愛と平和、そしてその裏にある「戦争の真実」を正しく「理解」することが重要な事なのです。
コステロの想いを飛び越えて、私の想いが組み込まれているかもしれないことを付け加えておきます(笑)
歌というものは、時代と共に作者の意図を飛び越えて発展していくものである。
ニック・ロウがどういった想いでこの曲をつくったかは知る由もないが、
愛と平和のみならず、「理解」という歌詞を含んでいるのなら、
愛と平和の裏のある「戦争の真実」を正しく理解しなければならないだろう。
最後に、ニック・ロウも、エルビス・コステロも、そして皆さんも、
私と同じ想いであられることを祈るばかりである。
「八百長戦争を許すな! 八百長戦争に参加するな!」という。