純粋なルーの心の内面に触れることができる貴重な作品 THE VELVET UNDERGROUND
2016年05月29日
「THE VELVET UNDERGROUND」
THE VELVET UNDERGROUND
ヴェルベット・アンダーグラウンドの1969年の3作目のアルバムである。
ジョン・ケイルの脱退(実質ルーによって解雇された)後の作品であり、このアルバムからが、実質上のルーのソロ活動と言いってもいいかもしれない。全曲、ルー・リード作である。
「キャンディ・セッズ」は、ルーの声にそっくりだが、本作で新加入したダグ・ユールのヴォーカルである。けだるい感じが、いかにもサイケでいい。
「ファット・ゴーズ・オン」は、一転してギター中心のロックである。歌詞は、ドラッグをやってるときの心の情景を歌っているのではないのだろうか?
「ペイル・ブルー・アイズ」は、淡々とした曲調だが、何故かほっとさせられる心境になる不思議なバラードである。
「ジーザス」は、本作のハイライトだろう。「ジーザス、私の居場所を見出してください。私の弱さから抜け出す術を教えてください。何故なら、私はあなたの慈悲からこぼれおちてしまったのだから。ジーザス」という短い歌詞を繰り返す歌である。ルーがキリストに関して歌っている曲は、恐らくこの曲だけではないだろうか。仮にキリスト教が善なる教えであったとしたら、その教えとは程遠い人生を送ったと思われる、ルーの“複雑な心境”が感じられる名曲である。
「ビギニング・トゥ・シー・ザ・ライト」は、「光が見え始めているんだ」と繰り返し歌う曲である。光とは「音楽業界における成功の光」のことを言っているのだろうか? 「イルミナティの光」ではないのだろうか?
「アイム・セット・フリー」は、「俺は自由にされたり束縛されたりしてきた。今俺は自由なのさ。新しい幻影を見つけるための」と歌う。やっと得られた自由も、新しい幻影を見つけるためだとは、なんとも皮肉な歌詞である。これは、当時の偽らざるルーの思いを歌っているなのではないのだろうか?
ライナー・ノーツには「これはルー・リードの贖罪のアルバムだとされた時代があった。今ではとんだお笑いぐさだが」と書かれているが、「ジーザス」あたりの歌詞から出た話であろうが、“お笑いぐさ”であることは間違いないだろう。本作発売後のルーの音楽活動を知っている者からすれば、ルーが少々の事で今までの人生を悔い改め、世のため人のため心を入れ替え、真っ当な人生を歩んでいくことを誓うようなタマではないことは、十分理解しているが(笑) しかし生半可な気持ちで本作を作ったとは私には思えない。当時のルーが真剣に自己の人生という奴に向き合っていたということは、紛れもない事実であるだろう。
そういった意味では、純粋なルーの心の内面に触れることができる貴重な作品である。
評点:80点
THE VELVET UNDERGROUND
ヴェルベット・アンダーグラウンドの1969年の3作目のアルバムである。
ジョン・ケイルの脱退(実質ルーによって解雇された)後の作品であり、このアルバムからが、実質上のルーのソロ活動と言いってもいいかもしれない。全曲、ルー・リード作である。
「キャンディ・セッズ」は、ルーの声にそっくりだが、本作で新加入したダグ・ユールのヴォーカルである。けだるい感じが、いかにもサイケでいい。
「ファット・ゴーズ・オン」は、一転してギター中心のロックである。歌詞は、ドラッグをやってるときの心の情景を歌っているのではないのだろうか?
「ペイル・ブルー・アイズ」は、淡々とした曲調だが、何故かほっとさせられる心境になる不思議なバラードである。
「ジーザス」は、本作のハイライトだろう。「ジーザス、私の居場所を見出してください。私の弱さから抜け出す術を教えてください。何故なら、私はあなたの慈悲からこぼれおちてしまったのだから。ジーザス」という短い歌詞を繰り返す歌である。ルーがキリストに関して歌っている曲は、恐らくこの曲だけではないだろうか。仮にキリスト教が善なる教えであったとしたら、その教えとは程遠い人生を送ったと思われる、ルーの“複雑な心境”が感じられる名曲である。
「ビギニング・トゥ・シー・ザ・ライト」は、「光が見え始めているんだ」と繰り返し歌う曲である。光とは「音楽業界における成功の光」のことを言っているのだろうか? 「イルミナティの光」ではないのだろうか?
「アイム・セット・フリー」は、「俺は自由にされたり束縛されたりしてきた。今俺は自由なのさ。新しい幻影を見つけるための」と歌う。やっと得られた自由も、新しい幻影を見つけるためだとは、なんとも皮肉な歌詞である。これは、当時の偽らざるルーの思いを歌っているなのではないのだろうか?
ライナー・ノーツには「これはルー・リードの贖罪のアルバムだとされた時代があった。今ではとんだお笑いぐさだが」と書かれているが、「ジーザス」あたりの歌詞から出た話であろうが、“お笑いぐさ”であることは間違いないだろう。本作発売後のルーの音楽活動を知っている者からすれば、ルーが少々の事で今までの人生を悔い改め、世のため人のため心を入れ替え、真っ当な人生を歩んでいくことを誓うようなタマではないことは、十分理解しているが(笑) しかし生半可な気持ちで本作を作ったとは私には思えない。当時のルーが真剣に自己の人生という奴に向き合っていたということは、紛れもない事実であるだろう。
そういった意味では、純粋なルーの心の内面に触れることができる貴重な作品である。
評点:80点