ソウル・ファンク・ゴスペル・ドゥーワップ

「時代の先を行く曲を生み出す」ミュージシャン、ALABAMA SHAKES

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「SOUND & COLOR」ALABAMA SHAKES



アラバマ・シェークスの2015年4月発売の最新アルバムである。
2012年のデビュー・アルバム「ボーイズ&ガールズ」が100万枚以上を売り上げ、一躍ブレイクしたシェークスだが、今回のセカンド・アルバムは、さらにスケールアップしたものとなった。なんと本作は全米No.1を獲得しただけでなく、第58回グラミー賞最優秀アルバム賞を含む全6部門にノミネートされたそうだ。グラミー賞といった賞にはほとんど関心のない私だが、本作の評価については「正当な評価」であると感じる。
中心となるのは、ヴォーカル&ギタリストの黒人女性であるブリタニー・ハワードである。
ゴッツイ体格から推察すると、その声も迫力満点のパワフルヴォイス一本槍かと思いがちだが、意外や意外、パワフルヴォイスよりも裏声を巧みに使った、実に多彩なファルセット・ヴォイス中心なのである。彼女の声はジャニス・ジョップリンというよりも、マーヴィン・ゲイやアル・グリーン、カーティス・メイフィールドの声を思い起こさせる。
作曲もほとんどをブリタニーが手掛けているようであるから、ブリタニー・ハワードの才能は相当なものである。他のメンバーは、ギターのヒース・フォッグ、ベースのザック・コックレン、ドラムスのスティーヴ・ジョンソン、キーボードのベン・タナーとポール・ホートンと、全て白人男性という構成である。どうしてもブリタニーが目立ってしまうのだが、リズムセクションも実にしっかりとした演奏を聴かせてくれている。

オープニングのタイトル曲「サウンド&カラー」は、最近テレビのコマーシャルにも使われているようである。幻想的で美しい曲だが、不思議と“懐かしさ”を感じさせられる。この曲は、後世に残る名曲となるだろう。
続く「ドント・ウォナ・ファイト」は、ドラムスとブリタニーの裏声がうまい具合にマッチしている。これまた名曲である。
「ギミー・オール・ユア・ラヴ」はドラマチックな曲調だが、曲のタイトルをシャウトする箇所は、デヴィッド・ボウイの「ロックンロール・スーサイド」のラスト部分の「ギミー・ユア・ハンズ」とシャウトする箇所からの引用であることは明らかである。
「ザ・グレイテスト」は、ギター中心のエネルギッシュなロックンロールである。キーボードが効果的に使われている。
「ミス・ユー」は、美しくもドラマチックな曲である。はじめは静かな曲調で後半に盛り上がっていくのは、明らかにオーティス・レディングの「トライ・ア・リトル・テンダネス」そのものである。ブリタニーさん、「偶然」とは言わせませんよ(笑)
「GEMINI」は、「そんな遠い彼方じゃないある惑星で 私たちは一緒に生まれた 最初はあなたと私しかいなくて それから二人してこの川に打ち上げられた」という歌詞で始まるのだが、この歌詞の通り、まるで”我々聴き手が宇宙遊泳をしているかのような近未来の状況”を感じさせる曲である。ライナーを見ると、ブリタニーが過去の黒人音楽をヒントに「時代の先を行く曲を生み出す」ことを想像して作ったとのことである。
日本盤のみのボーナス・トラックである「JOE」「MAKIN’ ME ITCH」は歌詞及び対訳がないのが残念だが、両曲ともにボーナス・トラックにしておくのにはモッタイナイほどの優れた曲である。

ブリタニーは明らかに私より下の世代の人間なのだが、音楽的嗜好は私に似ているような気がする。彼女は、レッド・ツェッペリンもデヴィッド・ボウイもオーティス・レディングもテンプテーションズもカーティス・メイフィールドもギル・スコット・ヘロンも聴いている人間なのだ。つまり、ロックやソウルといった特定のジャンルに拘らずに、“自分がいいと感じた音楽”を聴いてきた人間であるようなのだ。だから、彼女の作りだすサウンドは、ロックやソウルといった特定のジャンルの範疇に収まらないのだろう。
ジャンルの壁を超越したミュージシャンといえばスライを連想するが、ブリタニー・ハワードを中心としたアラバマ・シェークスは、「21世紀のスライ&ファミリーストーン」となる可能性を秘めていると思う。
今後のシェークスの目標とすべき方向性は、今の音楽性をさらに発展させ、過去の偉大なミュージシャンが構築した枠組みを飛び越えた、シェークス独自の“新しいサウンド”を確立することだろう。
それにしても、頼もしいミュージシャンが出てきてくれたものである。
21世紀の音楽界も、まだまだ捨てたもんじゃなさそうですナ。
今後のさらなる活躍を期待しています。














評点:90点





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