君の見るものの半分と聞くものの全てを信じてはいけない LOU REED - ルー・リード、ヴェルベッド・アンダーグラウンド

嘘八百のこの世界

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君の見るものの半分と聞くものの全てを信じてはいけない LOU REED

「NEW YORK」LOU REED


1989年のルー・リードのアルバムです
長年生活していたニューヨークをアルバムタイトルにしたルーの代表作だが、内容(ルーが訴えようとしていた対象)は、ニューヨークからアメリカ・バチカン・世界の闇へと発展している。「社会派ルー・リードここにあり」と感じさせてくれる傑作である。

「ロミオ・ハド・ジュリエット」は、「コロンバスからニューヨークまで 間違った地図の 道は絡み合った星の間を縫って行く」という歌詞で始まる。これは、コロンバスはコロンブスのことであり、コロンブスより始まったアメリカの歴史は現代の大都市ニューヨークまで続く“間違った歴史”であることを訴えているのだろう。星は明らかにアメリカ国旗を示しているに違いない。

「ゼア・イズ・ノー・タイム」は、「怒りを飲み込むべき時じゃない 憎しみを無視すべき時じゃない つまらない行動をしている時じゃない 時間はどんどん遅くなっているんだから 仇討ちをしている時じゃない 自分を知らずにいて済む時じゃない」と歌う。このメッセージは、時代と国を飛び越えて、今のこの国(日本)に必要なメッセージである。

「ラスト・グレイト・アメリカン・ホエール」は、「そうだ、アメリカ人は何事につけても あまり思いやることがない 大地や水などもってのほか 動物の生命はトーテムポールの下の方 人間の生命だって膨らんだイースト菌ほどの価値もないというのに アメリカ人はあまり美に関心がない 川に大便をし せせらぎに電池を投げ捨てる 死んだネズミが浜に打ち上げられているのを見て 泳げないのかと文句を言う 物事は多数派のためになされるべきだと彼らは主張する 君の見るものの半分と聞くものの全てを信じてはいけない」と歌う。ルーは明らかに「この世界の真実」を理解していた。

「グッド・イーヴニング・ミスター・ワルトハイム」は、「こんばんはミスター・ワルトハイム 法王様はお元気ですか あんたたちのやることには共通したところがたくさんあるね ほらジェシー・ジャクソンが来るぞ 彼は共通の場というが それにPLOは含まれているのか つい最近あんたのために戦った 今ここにいる人々はどうなんだ 言葉はあんたの唇から実に惜しげもなく踊るようにして流れ落ちる あんたが人種差別主義者という名目で 彼らを見くびらないことを祈っているよ ああ共通の場ね」と歌う。ワルトハイムは国連事務総長でありオーストリア大統領であった人物だが、元ナチス将校だったことが発覚した人物でもある。ジェシー・ジャクソンはアメリカの市民権活動家でキリスト教バプティスト派の牧師であるが、フリーメーソンであった噂がある人物である
ルーは、ワルトハイムもローマ法王もジェシー・ジャクソンも、「表向きは善人を装った悪人である」ことを、この曲で告発していたのである。「共通の場(COMMON GROUND)」とルーが呼んでいたのは、「フリーメーソン・イルミナティ同志の共通の場」という意味だろう

「ストローマン」は、「うんと少ししか持っていない君たちに対して または全然何も持っていない君たちに対して すごくたくさん持っている俺たち 普通の人が必要とするよりもはるかにたくさんのものを持っている俺たち 新しい100万ドルの映画なんて誰が必要としているんだろうか 新しい100万ドルのスターなんて誰が必要としているんだろうか」「ワラ男よ まっすぐ悪魔のところへ行け カカシ野郎 地獄へ堕ちろ 10億ドルのロケットを 誰が必要としているんだろうか」と歌う。ルーは「1%による99%の支配」をストレートに批判している。

ルー・リードは、1989年の段階で、明らかに「彼ら」による国民奴隷支配体制のことを理解していた。そして、ここまでストレートに「彼ら」の悪行に立ち向かっていたのである。恥ずかしながら、私は今の今までルー・リードというミュージシャンがここまで骨のある「本物のロックンローラー」であることに気付いていなかった。しかし、アメリカ人も含めてルーのメッセージの真意を理解している人間がどれだけ存在しているのだろう。甚だ疑問に感じる。大多数の人間が、せいぜい社会批判をしていたミュージシャンだということぐらいの認識しかないのではないだろうか。しかし、それも無理もないことである。まずロック・ミュージックに関心を持っていなければ、ルー・リードの音楽に触れることもないだろう。次に、この世界の真実を理解していなければ、ルーの歌詞を見ても、本当にルーが伝えたかったことは見えてこないだろう。私はロック・ミュージックをガキの頃から聴いてきたが、ルーの音楽に注目するようになったのは最近のことである。ルーの過去の作品を聴くにあたって、楽曲自体の素晴らしさ、詩人としての才能には目を見張るものを感じているのであるが、今回のルーの作品に触れることで、「ルー・リードの本当の魂」に触れることができたような気がする。そして、私は昔からロック・ミュージックというものに拘ってきた人間でもあるが、「本物のロック・ミュージック」というものは、単にでかい音を出すとか、メロディーラインがきれいだとか、ギタープレイが優れているとか、ヴォーカルがうまいとか、美しい歌詞を書くとか、そういった表面的な技術面のことをいうのではなく、「そのミュージシャンの心の底を隠すことなく表現し、臆することなく権力者に立ち向かっていく音楽のことをいうのである」と感じる。そういう意味で、ルー・リードというミュージシャンは数少ない「本物のロックンローラー」であったことは間違いない。











評点:100点



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