「骨太ソウル」+「モータウンポップス」=アーマ・トーマス
「Full Time Woman-The Lost Cotillion Album」IRMA THOMAS
アーマ・トーマスの1971・72年録音の2014年発売のアルバムである?
どういうことかというと、アーマが1971・72年にアトランティック傘下のコティリオンに吹き込んでいたが発売されなかった“幻の作品群”が2014年になって発掘・発売された、というわけである。CD店でこの“幻の作品群”というタイトルを見た私は、迷うことなくすぐさま購入しました。いざ聴いてみると、どの曲にも若きアーマの“エネルギッシュなパワー”と“ほとばしる情熱”が感じられ、圧倒されてしまいました。
何故にアトランティックはこれだけの名曲の数々をお蔵入りにしてしまったのでしょう。確かにシングルで発売された「フル・タイム・ウーマン」が売れなかったことが理由なのかもしれません。しかし、この曲自体は最高の出来です。アトランティックのジェリー・ウェクスラーも、「自分史上最高の一枚であり、それが1971年後半に発売された当時、なぜ何のインパクトも残せずに消えてしまったのか、いまだに不思議でならない」と語っています。当然セールス方法に問題があったのだと思われますし、当時のアトランティックは「いかにもソウル」といったイメージが強すぎたのが理由の一つであったのではないでしょうか。そのイメージからはこの曲があまりにも洗練されすぎていたために、当時のアメリカ人の心情には響かなかったのかもしれません。しかし売れようが売れまいが、この曲が「世紀の名曲」であることは疑いようがないと思います。この曲を聴くだけでも、このCDを購入する価値はあると思います。
「オール・アイ・ウォナ・ドゥー・イズ・セイブ・ユー」「シーズ・テイクン・マイ・ハート」も、実に骨太のソウルミュージックです。「タイム・アフター・タイム」は、あのシンディー・ローパーの曲を連想するタイトルだが、シンディーの曲とは全く関係ありません。フランク・シナトラやダイナ・ワシントンも歌っているスタンダードなのだが、これまたソウルパワー満開の熱唱であり、アリサも顔負けのアーマの歌いっぷりは、まさに“アッパレ”である。改めてアーマが「ニューオーリンズ・ソウル・クイーン」と呼ばれていることが証明されたような気がする。正直言って、ライヴで観たときの印象も含めて、アーマの歌唱法は「決して叫ぶのではなく淡々とソウルを歌いこなす」といったイメージが強かったのだが、「若き日のアーマ」は全く違っていたようである。しかし、「ウェイティング・フォー・サムワン」「ターン・アラウンド・アンド・ラブ・ユー」「イッツ・イレブン・オクロック」などは、一転してモータウンサウンドである。歌っているのはダイアナ・ロスかタミー・テレルかと思ってしまうぐらいである。これほど当時のアーマは、曲によって異なった歌唱法を用いていたのだろう。ひょっとしてこの“器用さ”が仇となって、アトランティックに見限られたのかもしれないと感じてしまいました。
何はともあれ今になってアーマの名作品が聴けたことは、私にとっては大変幸せなことでした。アーマの「ソウル伝説」が、これからも続いていくことを祈っています。
評点:80点
アーマ・トーマスの1971・72年録音の2014年発売のアルバムである?
どういうことかというと、アーマが1971・72年にアトランティック傘下のコティリオンに吹き込んでいたが発売されなかった“幻の作品群”が2014年になって発掘・発売された、というわけである。CD店でこの“幻の作品群”というタイトルを見た私は、迷うことなくすぐさま購入しました。いざ聴いてみると、どの曲にも若きアーマの“エネルギッシュなパワー”と“ほとばしる情熱”が感じられ、圧倒されてしまいました。
何故にアトランティックはこれだけの名曲の数々をお蔵入りにしてしまったのでしょう。確かにシングルで発売された「フル・タイム・ウーマン」が売れなかったことが理由なのかもしれません。しかし、この曲自体は最高の出来です。アトランティックのジェリー・ウェクスラーも、「自分史上最高の一枚であり、それが1971年後半に発売された当時、なぜ何のインパクトも残せずに消えてしまったのか、いまだに不思議でならない」と語っています。当然セールス方法に問題があったのだと思われますし、当時のアトランティックは「いかにもソウル」といったイメージが強すぎたのが理由の一つであったのではないでしょうか。そのイメージからはこの曲があまりにも洗練されすぎていたために、当時のアメリカ人の心情には響かなかったのかもしれません。しかし売れようが売れまいが、この曲が「世紀の名曲」であることは疑いようがないと思います。この曲を聴くだけでも、このCDを購入する価値はあると思います。
「オール・アイ・ウォナ・ドゥー・イズ・セイブ・ユー」「シーズ・テイクン・マイ・ハート」も、実に骨太のソウルミュージックです。「タイム・アフター・タイム」は、あのシンディー・ローパーの曲を連想するタイトルだが、シンディーの曲とは全く関係ありません。フランク・シナトラやダイナ・ワシントンも歌っているスタンダードなのだが、これまたソウルパワー満開の熱唱であり、アリサも顔負けのアーマの歌いっぷりは、まさに“アッパレ”である。改めてアーマが「ニューオーリンズ・ソウル・クイーン」と呼ばれていることが証明されたような気がする。正直言って、ライヴで観たときの印象も含めて、アーマの歌唱法は「決して叫ぶのではなく淡々とソウルを歌いこなす」といったイメージが強かったのだが、「若き日のアーマ」は全く違っていたようである。しかし、「ウェイティング・フォー・サムワン」「ターン・アラウンド・アンド・ラブ・ユー」「イッツ・イレブン・オクロック」などは、一転してモータウンサウンドである。歌っているのはダイアナ・ロスかタミー・テレルかと思ってしまうぐらいである。これほど当時のアーマは、曲によって異なった歌唱法を用いていたのだろう。ひょっとしてこの“器用さ”が仇となって、アトランティックに見限られたのかもしれないと感じてしまいました。
何はともあれ今になってアーマの名作品が聴けたことは、私にとっては大変幸せなことでした。アーマの「ソウル伝説」が、これからも続いていくことを祈っています。
評点:80点